第1章:B種接地って何?現場でよく出るけど仕組みが難しい…
電気工事の現場で「B種接地」と聞くと、「なんかややこしそう…」と感じる方も多いはず。
でも実際には、高圧受電設備の安全を守るために絶対に必要な仕組みなんです。
B種接地は、簡単に言うと「高圧や特別高圧設備から漏電した電流を安全に地面へ流すための接地(アース)」です。
通常の低圧設備ではD種接地やA種接地が使われますが、高圧以上の設備では、人命や設備の安全を守るため、より厳密な条件で設計されたB種接地が必要になります。
「でも、なんでD種じゃダメなの?」
それは、D種では十分に大電流を逃がすことができないから。
B種は短絡電流(=故障電流)をしっかり地面に流して、遮断器が確実に作動するように計算された仕組みなんです。
次の章では、このB種接地の「計算方法」と「どれくらいの接地抵抗が必要なのか」について、現場でよく使う早見表と一緒に解説していきます!
第2章:B種接地の計算式──基準値は「150÷Ig」が基本!
B種接地では、接地抵抗を「何オーム以下にすればいいか?」を数式でしっかり決める必要があります。
そのとき使うのがこの「150 ÷ Ig」という公式です。
ここで出てくる「Ig(アイジー)」とは、地絡電流=漏れた電流のこと。
この値を分母にすることで、確実に漏電遮断器が動作できる接地抵抗値を計算できるわけです。
「150÷Ig」って現場じゃよく聞くけど、理由まで分かってなかったかも。
ちなみに、遮断器の作動時間によっては、300÷Igや600÷Igのように緩和された基準も使われます。
これについては次章で、早見表つきでくわしく解説していきますね!
第3章:接地抵抗の緩和基準──遮断器の作動時間と早見表
前章で、B種接地の基準式「150÷Ig」を紹介しましたが、現場ではさらに緩和された数値が使われることがあります。
この緩和基準は、遮断器が地絡事故に対してどれくらいの時間で確実に動作するかによって変わります。
2秒以内なら「300÷Ig」まで緩和されることもあるよ!
■ 緩和基準のイメージ早見表
| 動作時間 | 接地抵抗値の目安 | 目安の計算式 |
|---|---|---|
| 1秒以内 | 最大600Ω(Ig=1Aの場合) | 600 ÷ Ig |
| 1〜2秒 | 最大300Ω(Ig=1Aの場合) | 300 ÷ Ig |
| 2秒以上 | 最大150Ω(Ig=1Aの場合) | 150 ÷ Ig |
値をそのまま丸暗記するんじゃなくて、仕組みで考えるのが大事やな。
このように、遮断器の性能によって接地抵抗の許容値が変わるため、ただ「150÷Ig」だけで判断しないことが大切です。
次章では、この早見表をどう現場で活かすか、実務でのチェック方法について解説していきます!
第四章:接地抵抗が低すぎるとどうなる?影響と注意点
接地抵抗は「低ければ低いほど安全」と思われがちですが、実はそれには落とし穴があります。接地抵抗が極端に低すぎると、地絡時に過大な電流が流れてしまい、他の機器に影響を与える可能性もあるのです。
たとえば、設計上5Ωで良いとされているところを、0.1Ωまで下げた場合──確かに理論上は「接地良好」ですが、実際には過大な漏れ電流が生じ、他系統の誤動作や、最悪の場合は設備障害の原因になりかねません。
設計基準以下なら何でもOKというわけではありません。B種接地においても、限度値だけでなく遮断器の動作時間、他設備との連携、安全率などを総合的に見て判断する必要があります。
JISやメーカー資料では、接地抵抗値の目安はあくまで「最低限守るべきライン」として定められており、現場判断でむやみに低くするのはNG。適切な範囲で、機器やシステムの構成に合った値を設定するのがプロの選択です。
第五章:接地抵抗値の“ギャップ”はなぜ起こる?測定値と設計値のズレを解説
設計段階では「この条件なら接地抵抗は5Ω程度だろう」と想定していても、いざ現場で測定してみると20Ωを超えていた──そんな経験、現場ではよくあります。これはなぜ起こるのでしょうか?
たとえば、地面が粘土質であれば比較的接地しやすいですが、岩盤や砂地のような場所では接地抵抗が高くなりがち。また、他の配管や鉄筋が近くにあることで、想定外の電位差が生じてしまうケースもあります。
さらに、接地極(アース棒)の埋設深さや本数によっても、結果は大きく変動します。設計では「アース棒2本、1.5m深さ」としていても、打設状況が悪ければ抵抗値は思ったよりも下がらないことも…。
そして、もし許容値を超えている場合は、アースの増設(複数本打設)や深さの調整、または接地種別の見直しが必要になります。B種接地のように「計算式」での判断が求められるケースでは、特に慎重に。
こうした“ギャップ”を埋めるためには、机上の計算だけでなく、現場での測定結果を踏まえた柔軟な判断が不可欠です。これができる技術者こそ、信頼される現場のキーマンと言えるでしょう。
第六章:接地抵抗の計算式と“現場で使える早見表”
最後は現場で「OKかNGか」を瞬時に判断するための“計算式”と“早見表”の出番だよ!
- 遮断時間が短い遮断器:600/Ig(厳しめ)
- 遮断時間が長めの遮断器:150/Ig(ゆるめ)
計算機出すのも地味にめんどくさいし(笑)
よく使われる遮断電流に対して、接地抵抗の上限値をまとめたものを作っておいたよ👇
■ B種接地抵抗 早見表(150 / Ig を基準)
| 遮断電流 Ig(A) | 許容接地抵抗値(Ω) |
|---|---|
| 5A | 30Ω |
| 10A | 15Ω |
| 15A | 10Ω |
| 20A | 7.5Ω |
| 30A | 5Ω |
| 50A | 3Ω |
| 75A | 2Ω |
| 100A | 1.5Ω |
※ この表は「150 ÷ Ig」で計算。より厳しい条件を求められる場合は、「300/Ig」や「600/Ig」で計算し直してね。
現場で「Ig=20Aだな」って分かれば、7.5Ω以下ならOKってことか!
極端に小さい接地抵抗だと漏電時の電流が過剰に流れてしまって他の機器に悪影響を与えることもあるし、雷対策上も考慮が必要なんだ。
あくまで「適正な範囲」での設計がベスト!
この章で紹介した「150/Ig」と「早見表」は、B種接地を扱うすべての現場で活用できる実践テクニック。特に施工管理の立場では、設計値と実測値のギャップを埋める判断材料として使えるから、ぜひ覚えておいてね!




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