絶縁抵抗とは?電気工事で最も重要な“見えないチェック”
電気工事でよくあるトラブルのひとつが、「見えない不具合」による感電や漏電事故です。
その中でも最も見えにくく、かつ重要なのが──
絶縁抵抗のチェックです。
絶縁抵抗とは、簡単に言えば「電線や機器が、どれだけ漏電しにくいか」を表す指標。
絶縁状態が劣化していると、電気が本来のルートではない“他の場所”へ漏れてしまい、感電や火災のリスクが高まります。
そしてこの絶縁抵抗は、通常のテスターでは測定できません。
メガー(絶縁抵抗計)と呼ばれる専用の機器を使い、「高電圧を一時的に加えて、電気の漏れ具合をチェック」する必要があるのです。
    「いやいや、ちゃんと電圧も出てたしテスターで問題なかったけど?」
そんな状態でも絶縁が悪化していた──なんてケース、現場では意外と多いんです。
では、どんな時にメガーを使い、どうやって基準を判断するべきなのか?
この記事では絶縁抵抗の正しい測定方法と現場での判断基準を、図解を交えて分かりやすく解説していきます。
テスターとメガーの違いを図で解説
まず前提として、テスターとメガーは役割がまったく違います。
- テスター(電圧計・導通チェック)
→「つながっているか?」「電圧は出ているか?」を確認する道具 - メガー(絶縁抵抗計)
→「漏れていないか?」「絶縁は保たれているか?」を確認する道具 
つまり、テスターで電圧や導通を見ても「絶縁状態」までは分かりません。
絶縁不良は、メガーでしか判断できないのです。
    さらに注意したいのは測定方法の違い。
- テスター:配線の両端に当てて導通や電圧をチェック
 - メガー:片方は接地(大地)側に当て、もう片方を配線や機器の端子に当てて絶縁を測定
 
つまり、テスターと同じ感覚でメガーを使ってしまうと──
「アースと導通が出てしまった…」「どこかで漏れてる…?」
といった誤った判断をしてしまう危険性があるんです。
だからこそ、絶縁抵抗を測るときは
目的・方法・基準の3つを正確に理解しておく必要があります。
絶縁抵抗の“基準値”は何MΩ以上?判断のフローチャート
現場でメガーを使うとき、必ず確認しておきたいのが「絶縁抵抗の基準値」です。
ただ、ここでよくあるのが──
- 「何MΩ以上あればいいんだっけ…?」
 - 「電圧によって基準が違うって聞いたけど…」
 
そんな時に役立つように、絶縁抵抗の最低基準値をフローチャートでまとめました👇
    ここで見落とされがちなポイントが「大地間電圧」です。
たとえば、単相200V回路では、
電線と大地(アース)間の電圧は100Vになります。
この場合、基準は0.1MΩでOK。
でも、これが照明器具などで誤って200Vを基準にしてしまうと、
「0.2MΩが必要だった…?」と混乱するケースもあります。
絶縁抵抗の基準は、回路電圧そのものではなく、大地間電圧で判断する!
ここ、テストにも出るし、現場でもかなり重要なポイントですよ。
以下に基準値を再掲しておきます👇
| 大地間電圧 | 最低絶縁抵抗値 | 
|---|---|
| 150V以下 | 0.1MΩ以上 | 
| 300V以下 | 0.2MΩ以上 | 
| 300V超 | 0.4MΩ以上 | 
不安なときは、この表をスマホに保存しておくだけでも安心ですよ!
絶縁抵抗測定中の“あるある”と、現場での判断
    
  
  
  
  
  
  このように、絶縁抵抗測定は数値だけで判断しようとすると迷いがち。
でも「大地間電圧」から逆算すれば、スッと判断できるようになります。
慣れるまでは基準表やフローチャートをすぐ確認できるようにして、
現場での“即判断力”を身につけていきましょう!




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